こんにちは、とけいです。
MECT2025に参戦してきましたので、そのレポートを残そうと思います。
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MECTの概要
1987年にスタートした工作機械見本市で、西暦奇数年の秋に名古屋市のポートメッセなごやで開催しています。奇数年の工作機械展としては、国内最大規模。(公式HPより)
参加の理由・目的
工作機械についての知識を身につける、実機を見る、会場の雰囲気を知るためです。
私は普段半導体関連の機械設計を行っており、
・工作機械についてはほとんど知識が無い
・Xで装置搬入の様子を見て、「こんなに機械が揃う展示会であれば見てみたい」と思いました。
去年同じ名古屋で開催された「オートモーティブワールド/ネプコンジャパン」にも行ったのですが、こちらではあまり機械の展示はありませんでした。あって協働ロボットが3~4台だったかと思います。そのため、普段設計している装置と異なる装置の実機を見れるいい機会だと思い、参加を決めました。
なお、写真撮影不可の展示も多々あり、展示員の方と話すことができなかったブースもあるので、技術的なキャッチアップは少なかったです。しかし、会場の雰囲気を知る、実機を見るという主目的を達成することができたので、私としては満足のいく展示会でした。
また、ものづくり系ポッドキャストの日のイベントもありそちらにも参加したいと思ったためです。
見学したブース
ざっと会場全体は周りました。そこで、目を引くブースにQRコードをピッして入れてもらい、見学しました。(このQRコード提示はほぼ立ち入り条件みたいになっていました。後日登録のメールアドレスにめちゃメールがきます)
NSK(日本精工)
リニアガイドの組み立て体験があったので、到着して1番に向かいました。無事リニアガイドを組み立てることができました。中にボールも入っており、動かすことができます。サイズは小指くらいです。エンド部分は、組み立て時は両端とも画像右の白いストッパでしたが、持って帰る時にストラップ用のリングか、ボールチェーンがもらえました。
組み立ては樹脂製の治具を使いながら行いました。ボールも治具側に入っていたのを、棒で押し出して本体側に充填しました。実際もこのような手順かは不明ですが、貴重な体験ができました。

THK
自動機をはじめ、リニアガイドの展示をしていました。ここでは展示員の方と話すことができたので、「リニアガイドを2列並行で使う時の平行はどのよう出すのが一般的か」と聞くと、「2列なら機械加工面に添わせる。1列ならピンに当てるでもよい」とのこと。実態もそうなのかは今後経験を積むにつれて確認する。
SMC
無線オートスイッチ
無線給電&無線通信でシリンダの制御が可能になるそうです。エア供給のチューブのみ必要。(メカ設計が楽になりそう。)断線のリスクが避けられるのがメリット。無線通信は5m、無線給電は0.5mの範囲内という制限があるようです。電波法対応国でのみ使用可能です。周波数帯は2.4GHzで、これだけ見ると他の通信との干渉が気になりますが、そこはいろいろな対策がされているようです。
ハーモニック・ドライブ・システムズ
ヒューマノイドの指モジュールに使われるACサーボアクチュエータを売り出していました。指モジュールの製作はしていないとのことですが、購入については営業所に連絡とパンフレットに書いてあります。現状日本ではあまりヒューマノイドの開発は行われておらず、大学などの研究機関での開発がメインのようです。展示員の方もおっしゃっていましたが、人間の指と比較すると少し大きなサイズになっています。今後さらに小型化されていくのでしょうか。それにはモータの小型化が必須になってきますね。
中央工機
最近SNSでも目にすることの多い、ヒューマノイドロボットが歩行してお茶を運ぶデモを実演していた。こういうのあると人が集まりそうだよね、の感。ユニバーサルロボットのカタログも確かここでもらいました。
タンガロイ
切削工具メーカーのタンガロイさん。ストレートタップ以外のスパイラルタップ、ポイントタップ、転造タップやロングエンドミル、バイト、ダイスなどもあり、普段なかなか見ることがなかったので勉強になりました。切削工具の知識は部品形状を決定するうえで非常に重要になりますよね。
ヤマザキマザック
オレンジ色が特徴的な機械とブースを展開しており、かなりの広さがありました。装置内部の映像を常時モニターに表示しており、人が多くなかなか内部が見られなかったので助かりました。展示にかなりの気合いの入りようで、プロモーションの熱を感じました。なかでも印象に残ったINTEGREX i 250 NEOは、同時5軸制御により複雑な曲面の高精度加工を実現しており、旋削、ミル加工、研削加工などさまざまなプロセスを集約することで、生産リードタイムの短縮、コスト削減を促進しているようです。推し機械の1つを見つけることができました。
中村留精密工業
社長のまるさんでXでもお馴染みの石川県の工作機械メーカーですね。複合精密CNC旋盤「NT-Flex」は、奥行き1.38mのコンパクトさで、100種類の製品を加工ができるというのを売り出していました。2スピンドル2タレットといい、L側主軸の加工が完了したら、R側主軸が伸びてきて、反対側を加工してくれることで、持ち替えずに加工完了できるそうです。
また、対話型NCプログラミングソフトウェア「Protona」は、コーディング知識が無くても、加工工程を選択→素材寸法、座標値などの図面情報を入力することで、NCプログラムを作成することができるようです。今まではGコードやMコードを覚えなければならなかったのが不要になるのは、現場の生産性向上につながりますね。
写真は第2か第3展示館のブースです。機械が展示されていたのは第1展示館でした。

ファナック
黄色いブースにROBODRILLと、お馴染みの協働ロボットの展示を行っていました。(黄色、白とも)。送り軸のレベルアップ、新高加速主軸、新Gコードの拡充などによりサイクルタイムを短縮しており、メカ・ソフト両方からの熱変位対策により、暖機運転を省略し生産性向上と省エネを実現しているようです。
松浦機械製作所
しつちょうさんでおなじみの福井の工作機械メーカー。金属3Dプリンタの展示はありませんでしたが、金属3Dプリンタでの製作品の展示は見ることができました。(下記ポストのドラゴンなどありました)。松浦機械さんは金型用途が多いとのことでしたが、製作品の実物を見てみると、今後様々な分野で活用されていきそうな印象を受けました。非常に先進的です。金属3Dプリンタ+切削の競合はSodick。
【知恵を貸してください】
— しつちょう|しゅごい工作機械屋さん (@yuto_matsuura) May 11, 2025
弊社は20年以上ハイブリッド金属3Dプリンタというものを開発製造してきました
動画にあるように、造形と切削を交互に繰り返すことで、後加工では届かない内部構造も削ることが可能です
この製法が有効に使える部品加工分野を金型市場以外で改めて探しています🙇♀️ pic.twitter.com/2877nF1cCS
DMG森精機
機械・ブース共に黒色の外観が特徴的でした。ワークとパレットの両方のハンドリングに対応する自動化システム「MATRIS WPH」により、変種変量生産にも柔軟に対応できることを売り出していました。
また、歯車加工を5軸加工機に工程集約した、5軸制御高精度立形マシニングセンタ「NMV 5000 DCG」が印象的でした。
村田機械
半導体業界では、FUOP(ウェーハを収納した密閉容器)の自動搬送設備(OHTなど)が有名ですね。ツール自動交換機能を搭載したCNCを売り出していました。ファナックなどもそうですが、工作機械以外の分野でも業績を上げていて素晴らしいですね。
オークマ
白を基調とした外観に青色のロゴが入っており、個人的に1番好きな配色でした。新製品の小型横形マシニングセンタ「MS-320H」では、250mm以下の中・小物部品加工を従来機比56%削減の省スペースで対応しているそうです。私も機械の省フットプリント対応をよくするのですが、56%もの削減は凄いですね。機械のサイズが小さくなればなるほど、工場のスペースを有効的に使えるため、結果的に生産性向上に繋がります。
iCAD
実機レス検証の展示を行っていました。iCADは私も業務で使っていましたが、日々のアップデートでどんどん便利機能が追加されている印象です。自動製図なども簡易的にできたはず。AIも発展してきているので、モデリング/製図手法が進化してより効率的になっていくと嬉しいですね。Xで人気のCAD内さんは不在でした。。。
ものづくり系ポッドキャストの日

こちらも主目的の1つでした。公開収録とのことですので、内容は後ほどアップロードされるのかと思います。高橋さん、クリスさんの「フットワークを軽くする話」や、かねまるさんの「やろうと思えばどうとでもできる」という言葉に、とても共感しました。発信活動をされている方は、行動力おばけの方も多いかと思います。そういった方々のお話は、いざ自分が行動をする際に背中を押してくれます。もちろん、必ず結果が同じになる保証などありません。それでも、自分がやりたいようにやることが大事なんだと思います。
終了後に撤収しながら交流する時間があり、そこでしぶちょーさん、りびぃさんにご挨拶ができました。りびぃさんとは初めてお会いしたのですが、お疲れの中でも親切に応対してくださり、とても優しい方でした。updraftの開発裏話も聞けてよかったです。updraftは今後活用していきたいですね。皆さんもぜひ登録して使ってみてください。
ノベルティ

下記のポストの他に、タクミセンパイのノベルティもTシャツ、ステッカー、アクリルプレートなど豊富で凄かったです。あとはメーカーのボールペン1年分(比喩)と、タンガロイさんのスケールと切削工具キーホルダー、SMCのおそらく災害用と思われる、反射板とライトと笛が一体になったストラップをもらいました。これはかなり良かったです。
ノベルティも豊作や!
— とけい@設計 (@tokei_chu) October 25, 2025
iCADトートバッグは真っ赤でいいね👍
最外装として肩にかけてドヤ顔で電車に乗りました🤥
マザックガチャはVCN-460が出ました!嬉しい!
(なお狙いはINTEGREX…🫢)
リニアガイドの組立も体験できて楽しかった! pic.twitter.com/unoG8yJOd1

生マと公式ガイドブック、ポケットブックも入手しました。全て無料でした。激アツ。


工作機械検定のチラシも入手しました。無料で受けられるのですね。時間がある時に挑戦してみたいと思います。
お昼ご飯
味噌カツ丼(¥1100)を食べました。名古屋なので。お茶は¥250。高級。

まとめ
工作機械は、加工現場を見に行かなければなかなか目にすることが無いかと思います。また、どの現場でも最新機種が置いてあるわけではありませんし、複数の加工機を使ってトータルで加工を行うという加工屋さんも多いかと思います。その為このような展示会で、最新機種の実機や切削工具を見ることができたのはとてもいい経験になりました。自動化要素については、経験不足で疑問に感じる部分も少なかったため、精進していきたいです。今後も社外の展示会にも積極的に足を運びたいと思います。

