【小論文】機械設計技術者試験1級【再現】

機械設計技術者試験1級の科目である小論文の攻略記事を書いていきます。

こちらは私の受験時に、社内の教育担当(1級取得者)に添削してもらい、A判定(70点以上)をいただいた小論文の再現です。

テーマはR4年「設計者に対するコスト意識の徹底について」です。参考になれば幸いです。

設計者に対するコスト意識の徹底について

各企業において、設計者のコスト意識は重要課題である。私が設計に携わる半導体製造装置においても機能の実現が優先され、コストダウン部品への置き換えなどは後回しとなってしまう。また、短納期での設計要求が増す中、本来であれば無くしても構わない構造を踏襲し、都度最適なコスト検討が行われずに設計完了となることが多々ある。これには変更に伴うリスクを嫌う風潮が影響しており、コスト検討を阻む要因となっている。その中で設計者にコスト意識の徹底を図る為、以下の方策を取る必要がある。

1.設計条件にコストダウンを含める

設計条件とすることで積極的に考慮することが可能となる。実際に詳細設計時の条件として、

・従来と異なる安価な材質の仕様

・板金における溶接の省略

この2つを統一ルールとして取り組みを行ったことがある。これにより設計として一律のコストダウン方策をとることが実現された。コスト意識を徹底するには、一部の設計者だけでなく設計チーム全体で取り組む必要がある。ルール化の是非については、ルールを増やしすぎると煩雑になるが、確実性を上げることや意識づけに効果的であると言える。単なる置き換えで済む場合はより確実に実行するプロセスとし、通常であれば吟味することが必要なシチュエーションもあらかじめ方策を統一しておくことで、短納期の中でもコストダウン対応が可能になる。以上のことから、設計条件にコストダウンを含めることは有効的であると言える。

先に述べた2つの例で注意すべき点としては、コストダウンという理由が浸透しなければただの材質変更、作図ルール変更で終わってしまう為、新規作業者の参入時には都度理由の説明を行うことでコスト意識を徹底させることが重要である。

2.設計時に考慮すべきコストについての知識を共有する

本来、設計時に考慮すべきコストは細かな物も含めると数多く存在する為、設計に直結する部品形状によるコストダウンを例にあげる。

CADにおいて、部品形状は加工可否を問わず自由に作図することが可能である。しかし、できる限り低コストな形状とするには加工に関する知識が不可欠である。具体的には、工具の付け替え工数を減らす為に穴径の統一、段取り換えの不要な形状とすることや、不必要に厳しいサイズ公差としないことなどがある。これらは設計レビューや検図の際にフィードバックすることで知識を共有する。一方で加工業者は基本的に図面通り製作を行う為、加工負荷でない限りコストダウン提案されない場合がある。その形状が実績となるとその後類似の設計が繰り返される可能性がある。さらに、加工業者により設備の違いや技術の違いがあり、曲げ構造が得意な業者もあれば溶接構造が得意な業者もある。得意な加工によりコストが異なってくる。こうした経験則は都度展開されることが望ましいが、対応関係者しか知り得ずに完結してしまうことも多い。その為、製作可否に限らずコスト面についても出図前に加工業者に確認するなど、設計と製造間での知識の共有も必要と言える。

最後に、コストを意識してユーザに低価格な製品を届けることは望ましいが、その為に品質や安全性を犠牲にしてはならない。機械設計技術者として、あらゆる知識を駆使して品質、コスト、安全性が常に最良となるような設計を心がけて行きたい。

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以上が再現小論文です。

文字数としては1300文字+でしょうか。

拙い小論文を最後までご覧いただきありがとうございました。

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